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ここが武林の分かれ道! ガガガ文庫より発売中の痛快武侠ノベル『武林クロスロード』シリーズ! その最新情報や制作裏話を、作者&イラストレイター自らが特設ブログでお送りいたします。女傑が振るうは万軍を制す刃、守るは華の如き美少女道士。暴虐の大地に炸裂する血と艶色の宴を、いざいざご覧あれ!!
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さてさて一方…
深見さんが「素手で千人殺す」などと魔王のような構想をしているとは、知る由もないRebis。
『武林クロスロード』序盤の初稿を読み通し、愕然としました。


作品のスケール感が、予想を遙かに超えているッ…!!


ここではない世界。
邪悪な皇帝が統べる「ルカン朝廷」の圧政に、人々が苦しむ時代。

暴虐を欲しいままにする朝廷軍に対して、立ち向かう一人の「武侠」がいました。
剛勇無双にして一騎当千、荒々しき正義の拳士。
その名はレイ=シュンライ――
あだ名は人呼んで「拳神雷」!


ちょっと派手なカンフー映画くらいの勢いを想像していたRebisは、オープニングから展開される壮大なイメージに圧倒されました。
もちろん、シュンライ自身の描写や性格も、キャラ表ゼロ稿から大きく変化しています。
肉体はより強く、心はより快傑に、生まれ変わったレイ=シュンライ。

さあさあ、ここが武林の分かれ道!
いわば自分と深見さんの対決、いかにシュンライを絵に出来るかという真剣勝負です!

深見さんの描写をベースに、デザインや意匠のテーマとなるキーワードをいくつか設定し、細かい部分も打ち合わせして詰めていきます。

そして描き上げられた、デザイン画第二稿がこちら…!



当ブログタイトルを、そして文庫表紙を飾る銀髪褐色の美女。
身長は2メートル近く、体重は恐らく100キロ超。
『アフリカンゲームカートリッジズ』の小島警視(*1)を超える、
深見ユニバース最大最強のヒロイン。
美しくもどこか可愛らしく、飄々と武侠の流儀を通す女傑――
レイ=シュンライの誕生です。


ここに至って、自分でもようやく「思いっきりやっちまう」という意味が分かってきました。
彼女を主人公の一人に据えた時点で、もう後戻りはできません。
深見さんからシュンライの使う”武器”の話を聞かされた時点で、その思いはますます強くなっていきました。
どんな武器って……今はまだ詳しくお話できませんが、デザイン画にその「一部」が描かれている通り。
こりゃあ普通の作品になるはずがありません…よね?


かくして『武林クロスロード』は、シュンライが戦女神の如く大地を踏みしめる音から始まりました。

次はもう一人の主人公――リョウカ生誕のお話です。


*1 『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』は、
  角川NEXT賞を受賞した、深見さん初期の傑作。
  近未来、個性的な「銃使い」達が激突するエクストリームガンアクションです。
  小島里美警視は身長190cm、体重95Kg、体脂肪率9%。
  素手でも銃でも人間を容易く殺せる、恐るべき女傑なのです。
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(深見)

主人公の名前は、レイ・シュンライ。

物語を書き始めるときに、当然最初に決めるのは主人公の性格・個性だ。
この物語の主人公は、二人。どちらも女性。
まずは、格闘に強いヒロインのデザインから始める。

武侠もののヒロインということで、とにかく強くなければ話にならない。
Rebisさんの絵柄も、強いヒロインを描くのにぴったりだ。


じゃあ、どの程度強くしようか?


ブルース・リーくらいか。
金庸の武侠小説か。
ツイ・ハークの映画くらいか。
武術指導でたとえるならユエン・ウーピンかドニー・イェンか……?


プロットを練り上げるうちに、結論が出た。


「とりあえず、千人程度なら素手で軽く殺せる感じにしよう!」
(Rebis)

せっかくのご指名をいただいた、『武林クロスロード』挿し絵のお仕事。
出来うる限りのことをしよう…! というわけで、今回Rebisはキャラ表やプロットの段階から、深見さんにお力添えさせていただきました。

まずは深見さんが制作した、キャラ表第ゼロ稿から選び出されたのは――

レイ=シュンライ。

このブログのトップ絵では左を飾る、『武林クロスロード』第一の主人公です。

わずかな設定を除いては詳細も決まっておらず、プロットもまだ骨組みの段階…
ですが『武林クロスロード』では、敢えてここからキャラ絵も練り上げ始めてみよう! という話になりました。
仮デザインでもキャラクターの姿が決まっていれば、深見さんがより豊かなイメージで執筆を始められるかも知れない、という目論見です。
もっとも小説は文が主で絵が従、深見さんの筆がキャラを変えるなら、デザインはどんどん変えていく予定。
(そして実際の所、Rebisは後に深見さんの恐ろしさを改めて知ることになるわけですが――)


「シュンライの年齢は大体どのくらいで……」
「武人なんだから、ある程度筋肉質な身体なのは当然だな」
「出来るだけ間口を狭めないためには…」
「武器は何にしようか? 九鈎刀(きゅうこうとう)…方天戟(ほうてんげき)…いや、もっと個性的に…」
「双鈎(そうこう)はどうだ! この独特の形と使用法、絵になるぞ!」


そんな打ち合わせの末、ひとまず描かれた「プロトタイプ・シュンライ」がこちら。
カラーバリエーションも4つ用意し、深見さんに好みの配色を選んでもらった結果です。

ご覧の通り、ブログタイトルのキャラクターとは随分違いますね。

この最初期シュンライと共に、いくつかのキャラクターもデザイン第一稿を仕上げ、打ち合わせへ。
ガガガ文庫の編集者様からGOサインが出て、いよいよ深見さんが執筆に入りました。
しばらくの間は、Rebisは休憩時間――
っとと、違う! 時は11月も半ば。様々な商業企画で押しまくっていますが、不肖Rebisは同人誌を頑張らなくてはいけない時期です(笑)

涙目で漫画を描くRebis――
その間、いくつもの小説を同時進行で書き続ける超人・深見真――

そして12月。
ギリギリで脱稿したRebisの元に送られてきた『武林クロスロード』序盤初稿は、凄まじい内容だったのです…!!

(続く)

 その依頼が持ち込まれたのは九月某日。
 小説家・深見真のもとに一通のEメール。
 
それは、恩人であり師匠の山下卓先生からのものだった。
「小学館で新しい文庫ができるらしいんだけど。ちょっと面白そうな話なんだ」

 
話はとんとん拍子で進んで、深見は飯田橋の居酒屋でガガガ文庫の副編集長、担当編集者と会うことに。
 
その席には山下先生もいて、あっという間に飲んだくれていた。何しにきたんだ。

「で、深見さんにはぜひ創刊ラインナップに加わっていただきたい、と」
 
これはいい話だ……! 乗り気にある深見。
 
その時、深見の中にはある作品の構想があった。

「あのう……武侠ものやってみたいんですが」
「武侠ですか?」
「はい。金庸とか香港映画とか……」
「ああ、なるほどいいですよ」

「ただの武侠ものじゃつまんないので、ちょっと飛ばしてみてもいいですか?


「……飛ばす?」

「つまり……とことんまでやってみる、というか」

「まあ、とにかく法に触れない範囲ならなんでもOKですよ。ガガガは」

 編集部からOKが出た。

「あと、もう一つ」

 
せっかくなので、深見は言いたいことはすべて言っておく。

「もう、挿絵の人も自分の中で決まっているんですが」

---------------------------------------------------------------------------------------------------------(深見真)


かくして、2006年10月某日。
このRebisに、深見さんとガガガ文庫編集部よりの挿し絵依頼が舞い込んだのでした。

「思いっきり描いてくれ!」と意気込む深見さん。

「思いっきりって……いいのか!?
俺と深見さんが思いっきりやっちゃったら……大変なことになるぞ!
小学館さんは、その辺分かってる……のか?」

ごぞんじの方もいらっしゃるかも知れませんが、Rebisは非常に偏った絵描きです。
ぶっちゃけエロ中心の絵描きです。それもかなりエクストリームな。
深見さんが描くヒロイン達を絵に立ち上げる自信はありますが、
全力を解放したらライトノベルの枠をぶっちぎってしまうこと間違いナシなのです!


しかし、深見さんは力強く言いました。

「大丈夫! 今回は自由にやれる!」

「分かった。
何でも描こう。何枚でも描こう。
深見さんが描くキャラクターを、一字一句違わず絵にしたらああ!!

――で、テーマは?」



「武侠アクションをやる。
とびきりバイオレンスでとびきりエロスで、女の子と女の子がたっぷりとやり合うヤツ。
そして血がたーっぷりと…」

「血と深見汁がたーーっぷりと、だな!」


かくして、『武林クロスロード』は動き出しました。

後にある高名な小説家をして「深見は核弾頭を作ったな」と言わしめる問題作。
ガガガ文庫の大量破壊兵器が、蠢動を始めたのです。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------(Rebis)
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プロフィール

■深見真
小説家・漫画原作者・脚本家

■Rebis(れびす)
漫画家・イラストレイター





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